かぼちゃいも日和◎

たわむれごとの記録

テーブル下の妖怪

iPhone、というすかした名前で奴のことを呼ぶのはなんとなくいやなのだが、スマホと呼ぶのは違う気がする。

 
とにかくわたしはiPhoneを愛用している。
皆が知ってる光る画面のことだ。そのiPhoneで長いこと文章を読んでいて、ふと目を上げ少し離れた場所から改めてその画面を見ると、ずいぶん小さな画面の中の小さな活字を追っているものだ、と思う。
その活字の小ささときたら、ゴマ粒とそんなに変わらないくらい。
 
こんな摩訶不思議な世界の中に読み物が存在する時が来ようとは、小さい頃は無論想像すらしていなかった。
小さな体でかかえるようにして読んだいくつもの絵本。いろあざやかな紙の世界の中のものがたりたち。日が暮れて暗くなっても、テーブルの下で電気もつけずに絵と文字を眺めていた。テーブルや椅子、机の下に入り込んで本を読むのが好きだったので、汗ばんだ腕にはほこりがいっぱい貼り付いていた。
あの頃がいちばん読書家だった。
 
本は最後のページの最後の文字で終わり、そこまで来たらもう本を閉じて顔を上げるしかないが、この光るちっちゃな画面の中のちっちゃな活字達にはどうやら終わりが無いようだ。
指をすいすい動かすごとに、また新しいものがたりが始まる。
繋いでいた手を引っ張られるように。
 
顔を上げなきゃ、顔を上げなきゃと自分から思わなければ、ずっとものがたりの中を彷徨い続けることになる。ずっとテーブルの下。日が暮れてまっくらになっても、画面が光ってるから無問題。そう、iPhoneならね。
妖怪か。
 
まるで妖怪なのはiPhoneか、テーブルの下のわたしなのか。
とにかくちっちゃな画面に執心するのもほどほどにして、紙の本にもまた戻りたい欲求が最近高まっています。
読後感にひたるための何もない時間があるといい…やっぱり何事にも終わりがなくちゃ。
 
というようなことを、思いつきのままに綴りたい気分だった本日です。
明日は雪みたいですね。さむー
 
 

最近のお気に入りです 静かな夜に。