2015-06-30 静かな朝 ショートショート 寝てようが起きていようが朝はひとりでいたい。洗濯機が回る音にも車のエンジンにも誰かの足音にも、シーッて言いたいくらい、ひとりでいたい。 そんなことを願い続けていたら、朝だけ音という音が何も聴こえなくなるような感覚を覚え始めた。 遠くの家の犬の声も、シーツの擦れる音も、カーテンをまくる音も、時計の秒針の音も、わたしのかすかな呼吸の音も、何も聴こえなくなった。 けたたましく時計が鳴り響いている。けれど何も聴こえない。 母がわたしを呼んでいる。けれど何も聴こえない。 やがて昼になればやってくるであろう「音」に想いを馳せるのがわたしの朝になった。静かな朝だ。
2015-06-12 あったあった なんかいろいろ 今となっては記憶の片隅、あったあったの文脈で語られるもの。 会話に自然と挙がるほど有名ではないし、かといって記憶から完全に消えるほど影が薄くもない。むしろ過去の自分に強いインパクトを残したからこそ、ふとした瞬間に脳内に思い起こされるのだと思う。純情パイン<完全版> (シリウスKC)作者: 尾玉なみえ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/08/09メディア: コミック購入: 4人 クリック: 16回この商品を含むブログ (13件) を見る 続きを読む